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鹿角で作られた再エネ電気を、
地域の皆様へかづのパワーは秋田県鹿角市の自治体新電力です。
2019年7月に鹿角市が株式の49%を出資し、秋田銀行、北都銀行、秋田県信用組合など市内金融機関のほか、鹿角工業振興会から16者の株主構成で設立しました。設立のきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災でした。鹿角市も、被害は大きくなかったものの停電になりました。電力自給率370%を誇る鹿角市は、市内で使う電力量の4倍近くを地元で発電しているにもかかわらず、震災後の停電の復旧は、秋田県内の市町村の中でも遅かったのです。
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当時、市民は「なぜ市内にこんなに発電所があるのになかなか復旧しないのだろう?」と疑問に思いました。これが、地域の再エネ電気をどのように活かしていくか考える契機となりました。地域の資源から生まれる電気そのものが、地域で暮らす人たちに恩恵をもたらすような仕組み、地域にある再エネは、そのまま地域の役に立っていると感じられる事業にしなければいけない。その体現に向けて、発電事業者と地域が共生する仕組みを作るため、かづのパワーを設立しました。
→ 鹿角の電力自給率は、なぜ高いの?
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電気の小売会社として、
土台をしっかりと2020年4月から電気の供給を開始しましたが、2021年1月の電力卸売市場の価格高騰を受け、同年2月から事業を休止しました。
「見込みは甘すぎたが、地産地消の取り組みは間違っていない。解散するのではなく、もっといい仕組みを考えられないか」という市議会の意向を受けて、継続可能な事業計画を模索しました。
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それから約1年をかけて、市場価格変動のリスクに対応できる電気の仕入れ方法を確立(※2)し、2022年4月から事業を再開しました。その後、2023年4月からは大沼地熱発電所の電力の一部を仕入れ、さらに同年12月からは田代平ウィンドファームの電力の一部も仕入れて供給しており、電力市場価格に左右されない地域の再エネ電気を増やすことで、安定した事業経営を進めています。(※2)
こうして、地域の発電所の電力を仕入れることで、電力市場価格に左右されにくい仕組みが整いました。休止という苦い経験があったからこそ、未来のリスクへの強固な対策を行い、長期にわたって地域に電気を供給し続けられる仕組みを作ることができたとも言えます。
→ 電気の仕入れの仕組みについて
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日本一早い「脱炭素」達成を
目指して2022年3月、鹿角市は「2030 ゼロ・カーボンシティ宣言」を表明し、2030年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにするという目標を掲げました。
大多数の自治体が2050年の達成を目標にする中、日本一早い脱炭素の実現を目指すには根拠があります。鹿角市には再生可能エネルギーを利用した発電施設が既にあり、新たな開発をしなくても、市内で発電された再エネ電気を市民が利用するだけで目標を達成できるのです。
かづのパワーは、市内に再エネ電気を供給する役割を担うことで、2030ゼロカーボンという目標達成に貢献します。
→ 実質再エネ電気って?
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すべては地域の未来のために
現在、かづのパワーが仕入れている電気は9割が地元の再エネ電気です。市内に発電所が多数存在し、その豊富な電気を仕入れていることが、地域の小売電気事業者である当社の強みです。そして、地域の再エネ電気であるため、近年の電気代高騰の原因となっている世界情勢などといった外的要因に左右されない価格設定が可能です。
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今後の目標は、地元の発電所からの電気の仕入れを増やしつつ、地元のお客様に供給することで「電気の地産地消」を実現し、2030ゼロ・カーボンシティの達成に貢献することです。2030年までに、市内で使われる電気の半分をかづのパワーが供給することを目指しています。達成率や地産地消率は随時ホームページで公開していきます。
私たちが最終的に目指すのは、地域で作られた再エネ電気を地域のために使い、得られた利益を地域で循環させることです。たくさんの電気を生み出す地熱、水力、風力、太陽光は、鹿角市の宝であり、この宝を地域で活用することで、いつまでも安心して暮らせる町を作る。それが地域の皆様と一緒にかづのパワーが実現したい未来です。