鹿角市のエネルギー事情について

鹿角市の電力自給率は、なぜ高いのですか?
明治時代、小坂鉱山や尾去沢鉱山が栄えていた鹿角では、鉱山に電気を送るため早くから水力発電の開発が行われていました。東京で電気の供給が始まったのが明治20(1887)年。その後、全国でも電気の通った地域がぽつぽつとしかない中、明治30(1897)年に秋田県発の水力発電所である銚子発電所が運転を開始しました。翌年の明治31(1898)年に永田発電所が運転を開始しました。鉱山のおかげで、鹿角は電気供給の先進地だったのです。
その後、水力発電に加え、市内に3つある温泉郷の地熱を使った発電、風力発電や太陽光発電などの開発が進みました。鹿角の土地が持つ「電気を生み出す力」の豊かさに、発電所を運営する企業のたゆまぬ努力が合わさって、長い年月を経て鹿角市は高い電力自給率を誇るようになりました。2023年現在、電力自給率は380%を超えており、その全てが再生可能エネルギー由来です。
鹿角市にはどんな発電所がありますか?

鹿角市内には、3つの地熱発電所、14の水力発電所、1つの風力発電所があります。

発電の種類 発電所名(稼働開始年、定格出力)
地熱発電

澄川地熱発電所
(H7~ 50,000kW)

大沼地熱発電所
(S49~ 9,500kW)

切留平バイナリー発電所
(R2~ 250kW)

水力発電

柴平発電所
(S39~ 2,800kW)

八幡平発電所
(S43~ 5,400kW)

八幡平第二発電所
(S60~ 1,500kW)

湯瀬発電所
(T11~ 1,425kW)

永田発電所
(M31~ 721kW)

碇発電所
(M40~ 1,873kW)

大湯発電所
(T9~ 986kW)

銚子第一発電所
(M30~ 2,300kW)

止滝第二発電所
(M35~ 1,400kW)

新大楽前発電所
(H11~  2,500kW)

扇平第三発電所
(M39~ 1,300kW)

大湯第四発電所
(S13~ 600kW)

沼平発電所
(S13~ 600kW)

近江谷地発電所
(R1~ 49.9kW)

風力発電

田代平ウィンドファーム
(H14~ 7,650kW)

(出典:鹿角市エネルギービジョン)

かづのパワーについて

かづのパワーの設立の目的は何ですか?
再エネ電気の地産地消を実現することです。そして、電力資金(電力小売事業を通じて得られる利益)を地域に循環させることによって、地域活性化につなげていきます。
電力資金の循環とはどういうことですか?

鹿角市外の事業者から買うと、いくら安い電気であっても、その資金は鹿角市外に流出します。市内の事業者であるかづのパワーから電気を買うことで、その資金は鹿角市内に残ります。さらに、かづのパワーが販売する電気も鹿角市内で生産しているため、電力に関する資金が鹿角市内で循環し続けることになります。

かづのパワーの出資比率を教えてください。
鹿角市49%、市内金融機関15%、地元企業16者36%です。事業の目的は「電力の地産地消を推進し電力資金を地域で循環させること」なので、利益の使い道に公益性を持たせるため、市に出資していただきました。電気の地産地消を目指し、2030年ゼロ・カーボン達成に向けて地域の発電事業者様から電気を仕入れられるよう、市と協力しながら進めています。
利益を地域で循環させるとのことですが、その使い道を教えてください。
利益の使途は、市への寄付のほか、かづのパワーが直接再エネ事業を実施することも想定しています。市に寄付をした場合には、産業振興をはじめ、市の施策の中で重要な地域課題の解決に使っていただきたいと考えています。
かづのパワーが目指すものは何ですか?
鹿角市が表明している「2030ゼロ・カーボンシティ宣言」の達成に向けて、再エネ電気の地産地消を実現し、持続可能な社会を目指します。さらに、いつまでも安心して暮らせるまち、次の世代の子どもたちが誇れるようなふるさとを、地域の皆様と一緒に作っていくことを目指しています。

小売電気事業について

「新電力」「地域新電力」「自治体新電力」とは何ですか?
2016年の電力自由化以降、電気の小売事業に参入した企業を「新電力」といいます。その中で、地域内の発電電力を最大限に活用し、主に地域内の公共施設や民間企業、家庭に電力を供給する小売電気事業を「地域新電力」と呼び、中でも自治体が出資するものを「自治体新電力」といいます。
新電力は全国(東北・秋田)に何件ありますか。
次のとおりです。
新電力件数(R5.6時点)
全国 681件

東北 33件
※東北に本店のある新電力

秋田 4件 
※秋田に本店がある新電力
かづのパワーの電気の仕入れについて教えてください。
設立直後は、永田水力発電所からFIT制度に則って仕入れ、不足分は電力卸売市場から仕入れていました。FITの電気は、発電所が東北電力ネットワーク株式会社に販売した電気を卸売市場の価格と等価で仕入れるという契約になるため、結果として、仕入れる電気の全てが市場価格によって変動するものになっていました。
事業再開後は、非FITを含む地域の発電所の電力を仕入れることで、市場価格に左右されにくい仕組みを確立しました。
FIT制度とは何ですか?
「FIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)」は、再生可能エネルギー由来の電気を電気事業者が一定期間、国が定める価格で買い取らなければならないという制度です。それに対して「非FIT」とは、FIT制度に頼らない電気売買のことで、価格を発電所と電気事業者の間で決めることができます。
FIT特定卸供給契約とは何ですか?
FIT制度にもとづく契約をしている発電所の電気は、一般送配電事業者(電線などの送配電ネットワークを管理し、お客様のご使用場所まで電気をお届けする事業者。全国に10社あり、東北では東北電力ネットワーク株式会社)が20年間固定価格で買い取ることになっており、その資金は国民が再エネ賦課金として負担しています。このFIT契約をしている発電所の電気は、かづのパワーが直接購入することはできません。しかし、「再生可能エネルギー特定卸供給契約」を東北電力ネットワーク株式会社と結ぶことによって、かづのパワーはFIT発電所の電気を特定して購入することができるようになり、地域の電気をお客様に供給することができます。その買取価格は、電力卸売市場の価格となります。

かづのパワーが供給する
電気について

かづのパワーが供給する電気は、どこの発電所で作られた電気ですか?
R5.12時点では、永田発電所(水力)、大沼発電所(地熱)、田代平ウィンドファーム(風力)、種沢営農型太陽光発電所(太陽光)で作られた電気を供給しています。お客様に供給する電気よりも多い量を確保しており、地産地消率は90%を超えます。
R6年4月からは大湯発電所の電力も供給しています。
地産地消率100%にはならないのですか?
小売電気事業は、30分同時同量(30分単位で電力の需要と供給が一致すること)を達成する義務があり、お客様が使う電気の予測と実績、また発電所の発電量の予測と実績を一致させる必要があります。お客様が使う電気より多い再エネ電気を調達していたとしても、30分毎に予測と実績の誤差を調整(発電量調整供給)する際には、化石燃料由来のものも混ざった電気を仕入れることになります。そのため、かづのパワーが供給する電気の100%を地産地消にすることはきわめて難しいこととなります。
100%再エネ電気にすることは可能ですか?
Q16で回答しているように、小売電気事業は30分同時同量を保たなければならず、予測と実績の誤差を調整する際に化石燃料由来の電気も混ざったものを仕入れることになります。そのため、100%再エネ電気を供給し続けることは難しいのですが、「非化石証書」という環境価値を購入することで、化石燃料で作った電気を非化石電気に置き換えることができます。「非化石証書」を使って置き換えたものを含めた電気を「実質再エネ電気」と呼び、実質再エネ電気100%にすることができます。
かづのパワーが電気を供給する範囲は鹿角市だけですか?
「電力の地産地消実現」を優先に考えていますが、東北電力管内(東北6県+新潟県)のエリアのお客様に供給しております。2024年4月から、東京電力エリア(関東圏<東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、栃木県、群馬県、茨城県、山梨県、静岡県(富士川以東)>)への供給を開始しました。

業務内容について

現在の業務内容を教えてください。
電気の仕入れ、営業、広告宣伝、需給管理、集金などを従業員3名体制で行っています。2023年12月1日から、これまで外部委託していた需給管理業務を内製化しました。需給管理は、電力の需要と供給のバランス管理を含むシステム全般の管理を行う、電力小売業者にとって肝となる業務です。

料金プランについて

かづのパワーから買うと、電気代は安くなりますか?
お客様の電気のご利用状況によって異なります。過去1年間の電気のご利用状況を確認させていただき、電気料金削減のアドバイスや、かづのパワーへお切替いただいた場合の電気料金試算を丁寧に行います。
電気料金メニューはどのように決めるのですか?
お客様の30分ごとの電気使用量の予測と、調達している電源のバランスを考慮して1年間の調達基準単価を設定しています。かづのパワーの電気料金は「仕入」+「手数料」としており、会社の安定経営を重視しつつ、調達原価並みの電気をお客様に販売するメニューです。調達している電気の大部分が地域の発電所との相対契約(固定価格)なので、万が一、世界情勢等の影響で電力市場価格が高騰しても、お客様の電気料金への影響は非常に少ない電源構成になっています。
電気契約をしたら「大沼発電所の電力100%」などと謳えますか?
2023年ですが、お客様の声を伺いながら、将来的に、発電所を特定した料金メニューも考えています。
水道料金とのセット割サービスなどはありますか?
2023年時点ではありません。
託送料金とは何ですか?
電気をお客様に供給する際に利用する電線の利用料です。

停電時の対応について

停電時の対応はどうなりますか?
お客様にとっては、停電時の対応は今までと変わりありません。停電からの復旧をはじめ、送電線の管理などは今までどおり東北電力ネットワーク株式会社が行います。停電時、かづのパワーは東北電力ネットワーク株式会社に復旧状況を照会し、お客様にお伝えいたします。
新電力から電気を買うと、不安定になったり、停電の時復旧が遅くなったりするのではないですか?
電力は、送配電網(そうはいでんもう)を通じてお客様に供給されます。供給する電力量と使用する電力量を一致させ、常時50Hzで供給する役割を、一般送配電事業者である東北電力ネットワーク株式会社が担っています。
一般送配電事業者には、電気小売事業者の状況にかかわらず全ての送配電網に電気を安定供給する責務があります。仮に、何らかの事情で電気小売事業者が電気を供給できなくなっても、お客様は変わらず安定した電気を使い続けることができる仕組みになっていますので、ご安心ください。
また、災害時の復旧は系統(小さなエリアなど)ごとに行われます。1つの系統から供給されるお客さまは、いろいろな電力会社と契約しており、特定の電力会社のお客さまだけ(逆に特定の電力会社のお客さまを除いて)復旧をするということにはなりません。災害時の復旧の優先順位は、その施設の重要度(人命に関わる、避難施設になり得るなど)で決められるものと考えられています。

今後の電源確保について

これから先も、地域電源の確保の見通しはあるのですか?
鹿角市内の発電所では、市民が使っている電気の4倍ほどの電気が作られています。つまり、3倍の電気は鹿角市外で使われています。地域電源を継続的に調達していくには、鹿角市に住んでいる人たちが「地元の電気を使いたい」と思っていただくことが大切です。鹿角市民が強く「地元の電気を使いたい」状況になれば、鹿角市内の発電事業者も地域への供給、ひいては売電を考えてくれるのではないでしょうか。ゼロ・カーボンを目指す鹿角市とともに、地域電源の確保に関しては、鹿角市にも全面的に協力していただくこととしています。
自前の電源はありますか?
自前の電源確保に向けた検討を続けています。
誰でも契約できますか?
これまで鹿角市の公共施設のみを対象としていましたが、2023年4月1日から、民間への供給を開始しています。どなたでもお気軽にお問合せください。2023年現時点では、東北6県と新潟県のエリアのお客様が対象です。
かづのパワーが倒産したらどうなりますか?
お客様は他の電力会社に契約先を切り替えることになり、特に指定が無い場合は一般送配電事業者との最終保障供給約款での契約となりますので、お客様が電気の供給を受けられなくなることはありません。