今回は山仁物産株式会社様にインタビューをしてきました。
北海道や北東北の広葉樹を中心に扱う山仁物産株式会社。大型機械を動かして製材するため、電気料金の価格変動の影響を大きく受けることになった同社が、かづのパワーと契約したきっかけや契約後の変化、地元への思いについて、山口卓也社長に伺いました。(2024年6月14日インタビュー)
――御社の事業内容を教えてください。
山口さん 当社は、北海道や北東北の広葉樹を中心に扱う製材所です。北海道のセンノキ、カバ、ホオ、シナノキ、ニレや、北東北のクリ、ナラ、ブナなど、20以上の樹種を扱っています。仕入れた原木を板状にカットして乾燥させ、オーダーどおりの長さや幅に切ってメーカーに納品するのが主な仕事です。取引先は大手家具メーカーや漆器の工房などですが、今後はECサイトを活用して消費者への直販も行っていく予定です。
杉を扱う製材所が多い秋田において、当社の毛色が少し違う理由は、創業から今までの経緯にあります。60年以上前、北海道小樽市の製材所で働いていた祖父が、仲間と4人で創業したのが始まりでした。当時、北海道では広葉樹が盛んに取引されていましたが、東北の木材市場は秋田杉をはじめとする針葉樹が中心でした。そこに目をつけた祖父は、東北の広葉樹を伐って北海道に運び、北海道の市場価格で販売しました。事業が軌道に乗り、東北の広葉樹の価値が見直されてくると、鹿角市に自社工場を立ち上げます。それが、現在の会社の原点です。私は4代目になります。
60年以上培ってきた広葉樹の目利きの力を生かし、質の良い木材を仕入れて無理のない価格で販売する直営スタイルを大事にしています。
――かづのパワーと契約したきっかけを教えてください。
山口さん 数年前、経営を引き継いだのを機に財務体質を見直しました。製材の工程で大型機械を動かすため、当社では電気をたくさん使います。そこで、当時比較的安かった新電力と契約したのですが、2022年の世界情勢の影響を受けて電気代が大きく値上がりし、途端に財政を圧迫しました。これでは続かないと思い、元の電力会社に戻ろうとしたのですが、断られてしまって契約できませんでした(※かづのパワーによる補足:当時、燃料価格の高騰を受けて新電力の倒産が相次ぎ、大手電力会社への契約が殺到。大手電力会社でも供給電力に限界があるため、新規契約を断っていた時期がありました)。
緊急避難的に送電事業者と期間限定で契約しつつ、新たな電気事業者を探していたときに、かづのパワーを勧められてすぐに連絡しました。かづのパワーも2019年に一度、事業停止していますが、情報の透明性が高く、以前とは違う体制で運営されていることが分かったので契約を決めました。一番の決め手は、情報が全てオープンにされていて、自治体新電力としての思いややりたいことが明確に表明されていることでした。2022年に契約の予約をして、2023年の春に契約しました。
――かづのパワーと契約したことで、変化はありましたか?
山口さん 契約を始めた2023年の時点で、以前契約していた新電力の料金より安くなりました。今年4月にさらに料金が下がり、以前の電気代の3割減になりました。これから製材機械のモーターの力を増大していこうと計画しているのですが、電気代がかかり増しになることを懸念していたので、今このタイミングで安くなってとても助かっています。
当社の特徴は「量を少なく、品質は高く」なのですが、これからは量を増やすことが可能になり、経営上のメリットは計り知れません。今後、ますます製材量を増やしていきたいと考えています。
――地元に対する思いを聞かせてください。
山口さん かづのパワーと契約したのは、電気代という側面もありますが、「実質自然エネルギー100%の電気を提供し、地域の未来を作る会社を応援したい」という気持ちが大きいです。当社は、北海道で創業しましたが、鹿角に根ざしている会社として一緒に地域を盛り上げていけたらと考えています。事業が大きくなり、雇用が増えて、鹿角がどんどん活性化していくような、そんな地元の未来に貢献していける会社になれるよう邁進していきます。